映画「軍旗はためく下に」
ヘビーな戦争ものは色々観ていますが、こちらも無事仲間入りしました。
ちなみに洋画なら「戦争のはらわた」、邦画なら「ゆきゆきて神軍」と市川崑の「野火」が好きです。
でも、こういう重々しそうな戦争ものも、観てみるとセリフが耳に優しかったりして意外と観やすいもので、時間あっという間なんですよ。
若い子にどんどん観てもらって、戦争についても知ってもらいたいし、日本映画の元気な時の映画なのでそのパワーも感じてもらいたい。
そんな訳で内容を含めた感想になります。
ご了承の上でお読みください。
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軍法を犯したとして処刑された軍人の奥様が真相を知るために、夫のかつての同僚を訪ねていくというお話ですが…
出てくる人々が根こそぎ保身しか考えて無いの。
当たり障りのない内容だけを奥様に伝え、結局最後の証人から簡単に概要が分かってしまうというお粗末さ。
いや、これなら奥様が動かなくてもお役所だって把握できたんでないの?
お役所からの手紙の返信だって同僚皆嘘ついている可能性もある。
きっとこの事実が明るみに出てもお役所は書類上はこうなので、と言い張って現状は覆らないのは想像に難くない。
夫は体罰を我慢してその場で上官にコロされるか、映画のストーリー通りになるかの二択しかなかったんじゃないかな。
そして、いつの時代も悪い奴ほどよく眠る。
こうして名も無い一市民が煮え湯を飲まされる世の中なんだよな。
映画に出てくる内容は私には目新しいものもなく、淡々と観ていられましたが、お子様にはショッキングな内容があるかもしれません。
事実、観て具合悪くなったというSNSも見かけました。
鑑賞される方はお気をつけて。
でも私は、事実はもっと悲惨だったと考えています。
南部戦線に行かされた日本兵の大部分は飢餓で亡くなっているという事実を考えるとどんな生き地獄だったでしょうか。
私達のひいお祖父さんやお祖父さんたちが巻き込まれた現実は変わらないんです。
私としては生の声を聞きたいのですが、なかなか敵わないことなのでこうして創作物に頼ります。
毎年行われる戦没者慰霊行事に参加もできない、したくもない人がいるというこんなお話を観てみるのも良いと思います。
今の若い監督には出せないパワフルな映画です。